スコッチ通信No.25

ざっと通読。今号で目を引いたのはやはり割り水の話ですね。自分では実験目的以外で加水することはないんですが、1994年の渇水のときには某所でミネラルウォーターを売っていたこともあって水の話にはつい引き込まれてしまいます。

用意された五つの水の選択にちょっと疑問を感じないではありませんでしたが(たとえば、中硬水のエヴィアンモルトにあいづらいというのは十年前からさかんに言われていたことなのですから省いてしまってもよかったのにとか、ハイランド・スプリングがないならネスレが入れているヴァルヴェール(十年前の資料最新版はこちら)ではCa 67.6、Mg 2.0、Na 1.9、K 0.7、pH 7.7、硬度176.5)あたりを試してみてもよかったのでは、とか)、pHを観点に持ってきたところには――妥当性はさておき――おもしろみを感じました。

ただ、ラフロイグにpH(というかこの場合Na値?)の高い(軟)水を、というのはなんだかいかにもな結論のような気がして、いまいち信頼性を感じられなかったのも正直なところです(笑) 単純に加水するだけでなく、たとえばこれで塩気のあるナッツでもつまみながら飲んだらどうなのかしらとか、Na値がやたらと高い北欧系の水(いまでもふつうに入ってるのかわかりませんが、スウェーデンのラムローサ(Na 222、pH 5.4、硬度7.5)とかノルウェーのファリス(Na 500、pH 8.4、硬度202.5)とか)での追試も見たいなあとか、思ったことです。まあ、いずれも発泡水ですし、いささか割高ですからバーで使えるかというと疑問ですけどね。

個人的にはもうひとつ、ボルヴィックの数値が十年前と変わっていることにいささかの感慨を持ちましたが、それはまあ、どうでもいいこと。余談ついでに書いておきますと、『福西英三の超カクテル講座』には同種の実験結果として、ブレンデッド・スコッチならエヴィアン等の方がよい結果が出ると書いてあります。Yさんなら先刻ご承知のこととは思いますが、ご参考までに。