ドイツ7泊8日の旅

遅ればせながら先日ドイツに行って来たので簡単に。今回の旅行には大きくわけて三つの目的があったのですが、いくつか反省点はあったものの初期の目標はまあまあ達成できたし、いくつかうれしい余録もあったので、行って(行けて)よかったなあと思ったことでした。

CPANTSの進捗報告

ここでも報告した通り、春先にはパリや台北でCPANTSの作業をしたわけですが、その後年度初めの繁忙期に入ってそれどころではなくなったため、発表の場(=締め切り)を設定して作業の後押しをしようというのが今回の訪独の目的のひとつでした。もっとも、6月半ばに繁忙期が一段落着いてからの2ヶ月ほどでとりあえずディストリビューションの分析をパラレルに実行するところまでは作業が進んだものの、8月に入ってからは発表の準備などにやたらと時間をとられてしまい当初目標にしていたところまで実装が終わらなかったので、残作業は今月以降の課題としています。また、この件についてはドイツで、またドイツからの帰国後、情報を提供いただいたり新たな課題の共有をできたりもしているので、また何らかの形で成果を報告できればよいなと思っています。

何人かの人に会う

2008年の来日時にYappoさんとlestrratさんといっしょにお会いして以来しばらくお目にかかる機会のなかったhanekomu氏が春のパリ訪問時に会えなくて残念がってくださっていたので、あらためてお会いできそうな機会をつくるというのも今回の訪独の目的のひとつでした。また、ドイツ語で書かれているPerl専門誌$fooのアジア最初の読者として、発行者であり今回のイベントの主催チームのひとりでもあったRenee Baecker氏にもご挨拶しておきたかったとか、春にはお会いできなかったCPANTSの(元)管理人のdomm氏や、春にあまりお話できなかったBarbie氏やTux氏、春に大変お世話になったelbeho氏などのQAチームの人たちともお会いしたかったという欲もありました。これについてはひとりひとりお名前をあげていてはきりがありませんが、とりあえず初期の目標はなんとか達成できましたし、これまでオンライン上でしかやりとりがなかった何人かの方とも面識ができました(もちろんこれまでまったく接点がなかった何人かの方々とも有意義な話をすることができました)。おそらく頑張ればもう少しいろいろな方とお話しできたと思いますし、お話しすべきだったろうなあと思いつつ特に言葉をかわさなかった方も何人かはいるのですが、その辺は欲張りすぎず、また次の機会を待ちたいと思います。

なお、特記事項として、1) hanekomu氏やsartak氏の日本語についてはよく言及されるところですが、Marty Pauley氏の日本語がとてもお上手になっていたことにびっくりしました(これまでにも何度か酒席でご一緒する機会があったのに、まったく気づきませんでした)。2) フランスのマンガ事情について熱く語ってくださったSebastien Aperghis氏にはぜひ一度来日して日本のヲタたちと交流を深めていただきたいと思ったことでした。

ローマ・ゲルマン博物館見学

春のパリ訪問では日程の都合もあってろくに観光もせずに帰ってきてしまいましたが、『ガリア戦記』の訳者としてはリヨンにあるガロ・ローマン博物館に寄れなかったことをとても残念に思っていました(帰国直前に訪問しようかとも思ったのですが、あいにく休館日だったため断念したのでした)。今回は自腹の旅行だったので遠慮なくケルンにあるローマ・ゲルマン博物館見学と、滞在中に気がついたのでマインツローマ・ゲルマン中央博物館見学も旅程に組み込み、おもに帝政期の国境最前線の残り香を楽しんできました。ケルンもマインツもそれぞれに特色があり大変興味深かったのですが、特にケルンの小物類の豊富さには圧倒されたことです(メルクリウス像だけでひとつの枠が用意されているとは思いませんでした)。その他、ゼンケンベルクの自然博物館ゲーテの生家(フランクフルト)、グーテンベルク博物館マインツ)、各地の大聖堂なども見学してきました。例によって会話の方はさっぱりでしたが、展示の説明文くらいならそれなりにわかるものです。

その他、イベントの感想など

  • どんなイベントでもそうですが、何か役に立つ情報を得たいとか技術的な話をしたいとか思ったらやっぱりそれなりの人にくっついていくことが重要ですね。ほとんど何の接点もない方々と飲み屋の漫談をするのもそれはそれで楽しいのですが、それで終始してしまうにはチト渡航費が高すぎるので。
  • 懇親会会場への移動に貸し切りバスが何台か。あちこちからいろいろな人が来ているせいでもあったのでしょうが、文化の違いというか何というか、ちょっと驚いたことでした。
  • Macros in RakudoのスライドはテキストからPDFへの変換まで、実際にrakudoを使って行われていました。使っている方々はもう使っていますよ、という例として。
  • Larryがnieczaとrakudoを切り替えながらデバッグしていたのも新鮮でした。
  • 国内ではnode-perlが話題になっていましたが、Perl 5/6の構文解析をしてJavaScriptなどに変換できるPerlitoもなかなかに興味深かったです(CPANにはv6というディストリビューション名であがっているもの。かなり昔からあるプロジェクトですが、実際に動いているのを見るのは初めてでした)。
  • EUの協定で有名なシェンゲン(盧独仏の国境沿いにある街)の近くにPerl(独、ペルル)やApach(仏、アパック)という街があるという出来過ぎのようなネタから、Perl 5とPerl 6の間に横たわるさまざまな境界、垣根をなくしていこうという動きが始まっているという、いかにもEUならではのいい話。
  • ピンクのシャツを愛用していることで有名なBooK氏が「~~<>」というイディオムを「精子演算子と改名したネタに苦笑い。
  • LTでダイエットの話をしていた方もいました。
  • Oslo.pmのsjn氏によるPerl Mongersグループの運営にまつわるセッションはとても興味深く聞けました。カンファレンスやトレーニングクラスによる資金稼ぎの話についてはグループの性質や立場にもよるでしょうから必ずしも参考になるとは限りませんが、Hokkaido.pmやHachioji.pmは(おそらくは国内のほかのグループも)これまでのところ本当にコアメンバーのみなさんがうまく回してくださっているなあとあらためて感じたことです。
  • フランクフルトの中央駅でアイスランドから来た方に偶然声をかけられ、お国のことをいろいろうかがえたのも楽しかったことのひとつです。いまではすっかり忘れてしまいましたが、若かりし頃はアイスランドから辞書を取り寄せ、某大学のアイスランド語の講義にも潜り込んでいたのでした。
  • フランクフルトは記録的な猛暑でしたが、ふだん東京で冷房なしの生活をしている私には単にからっとした暑さに過ぎませんでした(帰ってきたときの空気の重さには辟易しましたが)。出国時に現地の天気予報を見たときはやたらと雨マークが多かったのですが、結局小雨がぱらっと降っただけで、天気には恵まれたなあと思ったことです。
  • aystar (e-plus)が遅すぎて、あとからvodafoneのSIMを買い直した件。週末で、しかも現地着がやや遅かったので空港内の店舗が軒並み閉まっていたのが痛恨事でした。
  • ケルン名物わんこケルシュ。フランクフルトのアッペルヴァインやヘフェヴァイスのドゥンケルも悪くはなかったのですが、とにかく出てくるのが早い(というか、注文を受ける前に注いでどんどん配って歩く)のがせっかちな私にはぴったりでした。
  • 来年はキエフだそうですが、露語はまったく読めない(=博物館とか書店とか巡ってもあまり楽しめそうにない)ので悩ましいところ。アムステルダムあたりを経由地にして遊ぶ手はありそうですが、時期が時期だけに費用対効果が悪すぎて。