ラテン広文典

まだ充分に使い込んでもいないうちから書くのは公平を欠く――そう思わぬではないのですが、これは久々に読んで心があたたまった教科書ですね。なんというのだろうか、最近のものによく見られる「教科書を勉強して教科書を書きました」というにおいのしない、本当に自分が感得したところを教科書としてあらわしましたという手触りのある本。限定復刊だそうですが、これがまたなくなってしまうようではあまりに惜しい。たしかに旧字を使っていて一見古くさいとか、最近の教科書に慣れた目にはおそらく項目の配列が乱雑に映るだろうなとかいう懸念はありますが、日本語レベルの教科書としてはこれ一冊おさえておけば十分と言いたいくらい、親切で、かつエッセンスが詰まっています。本気でラテン語の勉強をしたいなら、これを敷居が高いとは言って欲しくない。おすすめの一冊。

ラテン広文典

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