『JPerlは偉大だった』……けれど

匿名のJperlユーザとおぼしき方から連載記事への要望コメントをいただいた。非公開希望ということなので取り合う必要はまったくないのだけれど、おかしなFUDを広められても困るので簡単にコメントを書いておく。

1) Perlのコアに「大きいことは良いことだ」という思想はない。「ワンライナーのためのツール」という側面を切り捨てたことはないし、これからもないだろう。21世紀に入ってツールチェーンまわりを新しくするためにいくつかのモジュールがコア入りしたが、コアにはモジュールをインストールするのに最低限必要なもの以外は入れない、というのが基本路線だ。

2) ActivePerlもStrawberry Perlも、コアのみのPerlではない。いずれもコアだけでは一般的な用途には足りないからという理由でさまざまな追加モジュールを同梱した独自パッケージだ。同梱しているものも異なるし、設定にも異なっている部分がある。それらの追加パッケージが気に入らないなら、CPANからダウンロードできる素のPerlを使えばよい。MinGWを使うにせよVisual Studioを使うにせよ、PerlWindows上からも簡単にコンパイルできるように調整されている。どのファイルなら消せるとか、考えるのは無駄。

3) どうしてもバイナリだけ欲しいのであれば、マニュアルを読めばよろしい。英語がいやならMakefileを読むのでもいい。スタティックにビルドする方法が書いてある。それでも足りなければminiperlを使うのでもよいだろう。dllがどういうものかわからないのであればWindowsなりCなりの基本から学び直すべき。

4) 誤解されることも多いが、素のPerlシフトJISの日本語を扱えないということはない。Encodeモジュールの使い方を理解しているにこしたことはないが、最低限\の扱いについて知っていれば正規表現でもなんでも対応できる。対応できないものもあるが、そのほとんどはEncodeモジュールやWin32系モジュールの使い方を学べば解決するし、そうでないものについてはおそらくPerlを使うより賢明な解決策がほかに用意されている。

念のために書いておくと、私も日常的なデータはすべてシフトJISで管理している(そもそも常用しているエディタはUTF-8に対応していない)。プログラム書きだけでなく、翻訳の仕事をするときでもPerlは手放せないツールとして使ってきたが、この十数年間、Jperlが必要だと思ったことはない。Jperlの功績は高く評価しているし、Perl 4の時代にはお世話になったこともあるので悪く言うつもりもないが、パスを通すのもいやだからバイナリだけコピーしてまわりたいという要望に応えるような記事を連載に入れるつもりはない。Jperlはバージョン的にも思想的にもモダンPerlのサポート対象外だ。